2013年12月14日土曜日

Beautiful Kazakhstan

昨日のこと。
部屋から1階にある食堂に降りて行ったらテーブルに目鼻立ちのくっきりした、すらりと背の高いエスニック系のファッションに身を包んだ日本人と思しき美しい女性がいた。
「こんにちは」とあいさつして隣の卓に腰掛けたのだけど、やはり気になるので「ここに泊まっているのですか」と日本語で尋ねた。しかし、きょとんとするのみで要領を得ない。
すると丁稚の若者が「彼女は日本人じゃないよ」と教えてくれた。
双方合点がいって、「どちらの国からいらっしゃったのですか。あなたの顔は日本人そのものです」と尋ねたところ、「カザフスタン」という答えが返ってきた。

「あーなるほど。うーんでも、あなたの顔は日本人の顔に見える」と告げ、「人生で初めて出会ったカザフスタン女性だが、あなたの顔は日本人でも可能だ。ちょっとカザフスタンについて聞きたいので、そっちに移っていいか」と問うたら「どうぞ」ということだったので、正面に座ってまじまじとその顔を見つめたが、きりっとした顔立ちで若干彫りが深めで肌は白め、モデル的というかSMの女王様チックというか、ともかく日本人でもいそうな容貌で、ともかく美しい。今まで近距離で話した女性の中では一番と思えるくらいに美しい。
で、「首都アルマティ出身」という。

だいたい僕にはカザフスタンに対する知識がない。
ただ、以前ネパールのポカラに滞在していた際にジム通いをしていたことがあったのだけど、そこであいさつを交わした男性の一人にカザフスタン人がいて、思い起こせばその時も「ちょっと日本人っぽい顔立ちだな」と感じた。弥生系ではなく縄文系の風貌で、漢民族や朝鮮人にはいないが、日本人ならあり得る風貌だった。

「何をやっているのか」と質問したら「ライター」というので、「僕と同じじゃん」ということになり、「何を書いているのか」聞いたら「テレビコマーシャルについて」と言う。
そして、「日本のテレビコマーシャルについてどう思う。私はとてもクリエイティブだと思うわ」と言われたのだけど、「いや〜、日本人にとっては当たり前だから何とも感想の言い様がないな」。
で、例として月面で動物の着ぐるみを着た人間が踊るパソコン関連のCMがあげられたので、「ああ、それ見たことがある。インパクトのあるコマーシャルだから覚えてる。でも、意味がよく分からない。なんか最近ダンスのコマーシャルが多いのだよね」。

「日本人と名乗っても疑われないと思うよ」と告げたら、「カザフ人はロシアンアクセントの英語を話すので、日本人とは思われないわ」とのこと。「それに日本人としては背が高すぎるわ」。
「いや、日本にもあなたくらいの身長の女性はいるよ。ちなみに身長は」と聞くと「170cm」。
「そのくらいの身長がカザフスタンでは普通なのかい」と尋ねたら、「私は高い方よ」という答え。

「あなたの今着ている服はカザフスタンの民族服かい」と聞けば、「インドの服よ。日本人がキモノを着るのと違って、私たちは民族衣装はまず着ないわ。特別な祭りで踊りを踊る時だけ。普段は洋服よ」とのこと。「いや、日本人も特別な祭りでしか着物は着ないよ」。

「どんなものを食べているの。インドみたいな感じかい」。
「例えば週末にはスシを食べに行くわ。10ドルから15ドルくらい」というので、「確かカザフスタンは中国の西方に位置していて、海はなかったと記憶しているけど」と指摘したら、「カスピ海があるわ。それに私の住んでいる首都アルマティは普通に都会だからいろいろなものがあるから。たくさんの女の子がハラジュクファッションだし」。
「なんだい、それ」。
「原宿よ、東京の」。
「ああ。いや、でも僕は原宿でカザフスタン人なんてみたこたないよ。カザフスタン人は、中国人なんかと一緒で日本に入国するのが難しいのかな」。
「そんなことはないわ。日本に旅行に行く人もたくさんいるのよ。日本のアニメやマンガもとても人気なの」。
「ヘぇ〜。あなたみたいに日本人のような顔を人がハラジュクファッションで原宿を歩いていたら、カザフスタン人だって気づかないからかな。知らずカザフスタン人とすれ違っていたのかもしれないね」。
また、例えば「一食外食5ドル」という。さっきの寿司といい、物価は日本とほとんど変わらないようだ。
「肉をもっと食べるわ。牛肉や馬肉も」。
「ああ、馬肉は日本人も食べる」。

確かに話していると、顔の角度や表情で時折東欧人の美しさも垣間見える。
これが本当のエキゾチックな美しさというものだろう。

「カザフスタンのコマーシャルってどんななの」と聞いたら、持っていたギャラクシーでカザフスタンそのもののコマーシャルを見せてくれた。

地平線まで平原の広がる美しい大地やカラフルな建物で、彼女と同じように美しく、彼女と同じようにモンゴロイドの面影を持った女性が美しい民族衣装に身を包んで踊り舞っていた。

「美しい国だね」。
「日本も美しい国なんでしょ」。
「どうかな。どこもかしこも美的感覚のない人々と美的感覚のない人々が作ったものばっかだから、そんなに美しいとは言えないかな。今見た動画みたいに、何もない場所がないんだ」と言ったら、「でも、田舎に行けばあるでしょ」。
「いや、そんなことはない。何かしら建物がある。小さい工場とか。どこもかしこも人間の匂いがする。気詰まりな国土さ。だからカザフスタンみたいに大地と空、そして太陽と自分という景色に憧れるね」と答えたら、「へえ、そうなの」とちょっと残念そうな顔をしていた。

「ハルキ・ムラカミは読むの」。
「まあ、コモンセンスとして読んだことはあるけど、特別好きではないかな。文章は分かりやすく読みやすいんだけど、なんか不思議だよね。もっと古い作家の方が好きかな」。

「あなたはテレビコマーシャルの批評を書いているの」。
「いいえ、カザフスタンは人口が少ないので回りは知り合いだらけ。とても批評は書けないの」。
「なるほどねえ。日本は人口が多いから、悪口書き放題だよ、ははは。じゃあ、感想や紹介記事みたいなのを書いているんだね」。
「そうね。でも、いつか自分の本を出したいわ。それが私の夢なの」。
「そうか。デリーであなたと同じ夢を持ってて、その夢を叶えた香港人女性に出会ったんだ。他にも似たようなことを叶えた日本人にネパールのポカラで会ったよ。叶うといいね」。

美人と二人相対して会話するのはとても疲れる作業なんだ、僕にとって。しかも英語だし。
「明日、本国に帰るための飛行機に乗るためデリーに向かう」という。

彼女はいろいろ日本のことを知っていたのに、僕ときた日にゃもどかしいくらいになんにも分からなかったなあ。

あっ、そういやマナリで出会ってデリーまで行動をともにしたアムリットサルに柔道を広めた三浦さんは、今カザフスタンで柔道を指導していると言っていたなあ。

夢か。そして、カザフスタンか。
まっ、彼女は行ってしまったよ。

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